初めて商業施設へ出店する方にとって、頭を切り替えなければならないのは、契約が『定期借家契約』だという事です。一般の貸店舗や住居の契約は、2~3年ごとに自動更新される『普通借家契約』ですが、それとは異なります。定期借家契約とは、更新が無く契約満了をもって終了する契約です。ほとんどの商業施設はこの契約形態をとっています。そこに重要なチャンスがあります。

オープンの札を持った店員

商業施設は、お客様に飽きられないよう、定期的にリニューアルを行っています。そのため、フロアごとに全テナントを同じ契約期間に揃えています。なぜなら、契約期間がバラバラだと、そのフロア全体を同時期にリニューアルする事が出来なくなってしまうからです。アパレルテナントは、特にトレンドの変化が速いため、契約期間の終了とともに全テナントを閉店させて、新しいブランドに入れ替えるためのリニューアル工事を行います。

空き物件の写真

しかし、この『定期借家契約』は、商業施設側にとっても諸刃の剣なのです。例えば、ある駅ビルのワンフロアをリニューアルします。5年間の定期借家契約で、新たなアパレルテナントが10店舗オープンしました。しかし4年後に、売上不振から1店舗が閉店したとします。その区画に、新たに5年契約でテナントを誘致できれば良いのですが、このフロアは1年後にリニューアルが控えていますので、残念ながら残りの1年間しか契約を結べません。1年の短期契約となると、賃料を大幅に減額しても、大手のアパレル企業はなかなか出店できないものです。ここに中小のテナント企業にとって、普段は高根の花だった人気の駅ビルに出店できるチャンスが生まれます。良い実績を作れば、次のステップにもつながります。

ポップアップは、商業施設の通路などのスペースで1日~10日程度オープンする店舗です。一方、中長期催事は、もともとテナントが正規出店するための店舗区画に、数ヶ月~1年程度にわたり出店する契約形態です。

ポップアップ中長期催事正規出店
出店期間1日~10日程度数ヶ月~1年程度5年前後
出店場所ポップアップ専用スペース、イベントスペースなど通常のテナント区画通常のテナント区画
賃料1日あたりの固定賃料なので高額歩合賃料だが、最低保証売上がそれほど高くないケースが多い歩合賃料だが、高額な最低保証売上が設定されている
開店費用・閉店費用安い居抜き出店なので安いスケルトン渡し、スケルトン返しなので高い
メリット・デメリット人通りが多い立地ですが、落ち着いて買物をする場所ではないので、期待ほど売れないケースも多い費用を抑えられるので、まだ出店実績が少ないアパレル企業のステップアップにも向いているこだわった店装で長期の営業できるので、固定客がつき、しっかりした売上を見込むことが出来る

ファッションもネット通販で買い物をされる方が増えていますが、やはりリアル店舗で色やサイズを確認して購入したいというニーズは少なくありません。そのため、ネット通販がメインのアパレル企業様にも、この「中長期催事」の物件はおすすめです。これからは、ネット通販の「利便性」と、リアル店舗の「試着・体験」を融合させるハイブリッド戦略が重要になるのではないでしょうか。